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関節リウマチ(RA:Rheumatoid arthritis)

関節リウマチ(Rheumatoid arthritis : RA) とは

リウマチは全身性の炎症疾患であり、 関節の中の滑膜に対して滑膜炎を起こす自己免疫疾患である。 病気の進行で関節を破壊し、運動機能を障害する。 最近では、薬の発達により、症状を全くでない状態まで 寛解させる事が出来るようになってきている。

リウマチの症状

初発症状は起床時の手のこわばりや、 手指、手首の関節の腫れ痛みを自覚して医療機関を受診することが多い。

関節症状

関節にある滑膜に炎症を起こす疾患のため、 病期の進行と共に様々な関節が炎症を起こし、 関節を破壊し、変形を引き起こす。 多くは手指の関節から炎症を起こすが、 第一関節(一番先の関節)は炎症を起こす滑膜自体が少なく、 リウマチの炎症は起こりずらいとされている。 第一関節の鑑別疾患としては ヘバーデン結節(変形性関節症)や乾癬性関節炎であることが多い。  

その他合併症

微熱
全身的な慢性炎症のため、発熱を起こしている事がある
リウマトイド結節
炎症を起こした部位で、フィブリノイド壊死を起こす事により コリっとした小さなものから、ゴルフボール大の大きなものまで、 腫れのような結節を形成する。
肺病変
昜感染性による肺病変(ニューモシスチス肺炎、間質性肺炎など)
全身症状
全身倦怠感、体重減少、貧血
他自己免疫疾患との合併
シェーグレン症候群など
原因
発症要因は不明なことが多いが、 遺伝的要素(HAL遺伝子など)50%+環境因子によるきっかけ で起こると予想されている。

環境因子

  • タバコ
  • ウィルス感染
  • 歯周病 等
関節リウマチの発症:遺伝要因と環境要因 山本一彦
総説 関節リウマチのゲノム医療の入り口としてのHAL遺伝子 藤尾圭志
疫学
  • リウマチ患者は日本で約80万人以上 (未受診含むと100万人以上とも言われている)
  • 男女比はおおよそ 男 1:3~4 女
  • ピーク年齢は30~50歳代(高齢発症RA:EoRAもある)
検査

触診・視診

手指の関節炎の触診は関節背側で伸筋健の橈側、尺側に沿って 腫脹や圧痛を確認する。 指関節の掌側は掌側板があるため、関節の腫れは背側に出やすい。

血液検査

抗CCP抗体
基準値 4.5 U/ml 未満 感度60~80% 特異度90~95% 関節リウマチ発症早期から高値を示すため、 関節リウマチの早期診断に有効 数値が高いほど症状が強く出る事が予想される。
リウマトイド因子:RF
基準値 15 U/ml以下 感度70~80% 特異度80~90% 関節リウマチで高位を示しますが、 関節リウマチ以外でも高値を示すことがあり 健常者でも約5~25% 高齢者約10%で高値を示すため リウマトイド因子だけでリウマチと判断されることはない   おおよそ20U/ml以上でやや陽性だな 40U/ml以上で陽性くらいのイメージです。
他RFが高値を示す病態
  • SLE 15~35%
  • シェーグレン症候群 75~95%
  • 強皮症 20~30%
  • ウィルス性肝炎 50%
  • HIV 梅毒 10~20% など
CRP
基準値 0~0.3 今起こっている炎症の数値
ESR 赤血球沈降速度(血沈・赤沈)
基準値 男1~10ミリ 女2~15ミリ 少し前に起きていた炎症の数値
MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ‐3)
基準値 男性36.9~121ng/ml 女性17.3~59・7ng/ml 滑膜の増殖に伴い発現・生産され 軟骨に対して分解作用を示すことから 極めて高い基質特異性の広い酵素として注目されている。 MMP-3は早期リウマチにおける 滑膜増殖と関節破壊の程度を反映するため 治療効果の判定や予後予測に大変有効

レントゲン検査

単純X線像で『RAに典型的な骨びらん』が認められればRAと診断する。 『RAの典型的な骨びらん』とは 【骨皮質の不連続性が両側PIP関節・MCP関節・手関節・MTP関節のうち、異なる3関節以上に認められるもの】をさす 骨びらんと関節裂隙狭小化がRAの2大特徴であり、 骨びらんは[滑膜による骨破壊] 関節裂隙狭小化は[軟骨破壊]を反映しているとされる。 手指X線正面像だけでは早期の異常を指摘するのは難しいため 斜位像での掌側の骨びらんを確認する。

MRI・超音波検査

診察や血液検査ではとらえきれない炎症の有無や X線像で検出できない細かい骨の変化を観察するために 必要に応じてMRIや超音波検査を行う。

診断基準

慢性関節リウマチの診断基準(ACR)

1989年にアメリカリウマチ学会(ACR)が発表した分類。 項目を満たすまでに時間がかかり変形が進んでしまう事が多い。
慢性関節リウマチの診断基準・表 日本医師会ホームページ 慢性関節リウマチ(リウマチ)

2010ACR/EULAR RA新分類

 
現在では2010年のACR/EULAR分類基準(図)が多用されている。新分類基準は疾患の確定診断よりもDMARDs治療が必要な病態を早期に捉えることに重点が置かれている。その趣旨はもっともであるが、安易に用いると過剰診断、過剰治療につながる。 関節リウマチの診断 大阪行岡医療大学医療学部理学療法学科 教授 村田 紀和 先生 リウマチ情報センター
RFは15~45位 抗CCP抗体は4.5~13.5位まで低値陽性

RAの早期治療開始基準

抗CCP抗体あるいはIgm-リウマトイド因子陽性 MRI画像所見での骨髄浮腫あるいはMMP-3陽性 上記2項目とも陽性であれば、RAに移行し関節破壊が強く予想され RAとして抗リウマチ薬を開始することが推奨される 関節リウマチの早期診断と関節破壊進行の予測 江口 勝美

鑑別疾患

病期分類

SteinbrockerのStage分類

病期(stage) X線所見 筋委縮 関節外病変 (皮下結節、腱鞘炎) 関節変形 強直
(初期) 骨破壊なし 軽い骨萎縮 なし なし なし なし
Ⅱ(中等度) 骨萎縮あり 軽度の軟骨、 軟骨下骨の破壊 関節周囲のみ ときにあり なし なし
Ⅲ(高度) 骨萎縮あり 骨軟骨破壊あり 広範囲にあり 同上 亜脱臼、尺側偏位、過伸展 なし
Ⅳ(末期) 同上 同上 同上 同上 線維性または骨性強直 ムチランス変形
中外製薬HP 関節リウマチとは

機能障害の進行度

上記

LARSENのGRADE分類

Grade0 正常 辺縁部骨化など、関節炎と関係ない変化はあっても良い
Grade1 軽度の異常 関節周辺部軟骨組織腫脹、関節周囲の骨萎縮、 軽度の関節裂隙狭小化のうち1つ以上が存在
Grade2 初期変化 小びらんと関節裂隙狭小化をみる、荷重関節の骨びらんは除外する
Grade3 中等度破壊性変化 骨びらんと関節裂隙狭小化があり、侵食蔵はいずれの関節にもみられる
Grade4 高度破壊性変化 骨びらんと関節裂隙狭小化があり、果樹関節に骨変形をみる
Grade5 ムチランス変形 本来の関節構造が消失し、荷重関節に著しい変化をみる 脱臼や骨性強直は分類には考慮しない

DAS-28・DAS-44

Disease Activity Score(疾患活動性スコア):DAS(ダス) DASは患者自身の疼痛評価(VAS:一番痛いのが100㎜としたら今の痛みはどのくらいか?) 患者全般評価(PtGA、テンプレート) 圧痛関節数腫脹関節数CRPまたはESRを 独自に計算式で数値化し、疾患の活動性を評価する指標です。 DAS28(ESR)=0.56×√(圧痛関節数)+0.28×√(腫脹関節数)+0.70×Ln(ESR)+0.014×患者の全般評価(VAS100㎜) DAS28(CRP)=0.56×√(圧痛関節数)+0.28×√(腫脹関節数)+0.36×Ln(CRP×10+1)+0.014×患者の全般評価(VAS100㎜)+0.96 DASには28関節を調べる『DAS28』と44関節調べる『DAS44』がある。一般に『DAS28』が良く使われている。

SDAI・CDAI

Simplified Disease Activity Index:SDAI(エスダイ) DAS28より簡便な評価法で、圧痛関節数と腫脹関節数 患者自身の疼痛評価(VAS10㎝) 医師による全般評価(VAS10㎝) CRPで算出します。 CDAIはSDAIからCRP数値を除外したもの。あまり使用されない

DAS-28/SDAI/CDAI基準値

DAS-28 ESR DAS-28 CRP SDAI CDAI
5.1以上 4.1以上 26以上 22以上 高疾患活動性
5.0以下 3.2以上 4.0以下 2.7以上 25以下 11以上 21以下 10以上 中疾患活動性
3.1以下 2.6以上 2.6以下 2.3以上 10以下 3.3以上 9以下 2.8以上 低疾患活動性
低活動性以下は症状寛解とするため、 それ以下の数値を目指して治療を進める

治療目標

現在では早期発見・早期治療により

完全寛解・ドラッグフリーを目指す 関節破壊は1年以内(特に半年以内)に起こりやすい 早期発見・早期治療は3か月以内に症状が改善させることが推奨されている

治療

薬物療法

抗リウマチ薬(DMARDs)免疫調整剤・抑制剤

抗リウマチ薬とは、関節リウマチ(RA)の免疫異常を改善させることにより、RAの炎症を抑え、寛解導入を目的とする薬剤の総称です。RAの進行を阻止する可能性があることから疾患修飾性抗リウマチ薬と呼ばれ、また効果発現までに時間を要することから遅効性抗リウマチ薬とも呼ばれています。 リウマチ情報センター 3.抗リウマチ薬と免疫抑制剤
免疫調整剤剤
  • ブラミジン(リマチル®)
  • サラズスルファビリジン(アザルフィジンEN®)
免疫抑制剤
  • メトトレキサート(リウマトレックス®メトレート®)
  • イグラチモド(ケアラム®コルベット®)
  • タクロリムス(プログラフ®)
  • ミゾリビン(ブレディニン®)
MTX:メトトレキサート(リウマトレックス®メトレート®)
リウマチで第一選択となる薬。アンカードラッグ 日本では1999年8月にリウマトレックス®の名前で適応されました。 メトトレキサートの効果は他の抗リウマチ薬と比較して速やかで、投与4週で効果を発揮する事も少なくない。 効果はその後3~6か月にわたり増強する。 副作用としては 粘液障害・骨髄障害・消化器障害・肝障害・間質性肺炎・全身倦怠感・脱毛・頭痛等 アレルギー機序の関与した間質性肺炎と機序が明らかでない頭痛以外は葉酸(フォリアミン®)の服用で予防が可能である。

非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)

ステロイドを使っていない、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬の総称
  • アスピリン(バファリン®など)
  • ロキソプロフェン(ロキソニン®など)
  • アセトアミノフェン(カロナール®など)

ステロイド薬(副腎皮質ホルモン)

ステロイドは強い抗炎症作用がありますが、関節リウマチに対する効果は限定的であり、またさまざまな副作用があるために、その使用はあくまで補助的なものです。 リウマチ情報センター2.副腎皮質ステロイド(ステロイド)
十分な量で異常な炎症反応を抑え込み、可及的速やかに『疾患の寛解状態』を達成できるように使用し、非可逆的な副作用を最低限に抑えるよう減量、中止するという位置づけになりつつある。 炎症期はケナコルト関節注射も有効。内服より副作用も少ない 副作用は昜感染性・糖尿病・高脂血症・高血圧・消化性潰瘍・骨粗鬆症・満月様顔貌・精神症状・白内障・緑内障・ステロイド筋症など様々

生物学的製剤

生物学的製剤とは、バイオテクノロジー(遺伝子組換え技術や細胞培養技術)を用いて製造された薬剤で、特定の分子を標的とした治療のために使われます。生物学的製剤は高分子の蛋白質であり、内服すると消化されてしまうため、点滴あるいは皮下注射で投与します。バイオあるいはバイオ製剤とも呼ばれます。 一般社団法人 日本リウマチ学会
感染症を起こす事があるため注意が必要です。
TNF阻害薬
炎症性サイトカインの一つ腫瘍壊死因子α(TNFα:Tumor Necrosis Factor‐α)を抑制し炎症を押さえる
  • インフリキシマブ(レミケード®)MTX併用必須
  • エタネルセプト(エンブレル®)
  • アダリムマブ(ヒュミラ®)
  • ゴリムマブ(シンポニー®)
  • セルトリズマブペゴル(シムジア®)
参照:TNFα阻害薬の解説 日経メディカル
IL-6阻害薬
炎症性サイトカインIL-6(インターロイキン6)を抑制することにより炎症を押さえる
  • トシリズマブ(アクテムラ®)
  • サリルマブ(ケブザラ®)
参照:トシリズマブ(IL-6阻害薬:関節リウマチなどの治療薬)の解説 日経メディカル
T細胞共刺激分子阻害薬
免疫の司令塔であるT細胞の活性を抑制する事により炎症を押さえる
  • アバタセプト(オレンシア®)
参考:日本内科学会雑第100巻第10号
JAK阻害薬
サイトカイン受容体から刺激を伝えるJAKという細胞内の酵素を阻害し、刺激が核に伝わるのを遮断し、炎症を押さえます。
  • トファシチニブ クエン酸塩(ゼルヤンツ®)
  • バリシチニブ(オルミエント®)
  • ペフィシチニブ(スマイラフ®)
  • ウパダシチニブ(リンヴォック®)
  • フィルゴチニブ(ジセレカ®)
参照:JAK阻害薬 リウマチ情報

💡拝島メディカル接骨院で出来ること💡

接骨院のためお薬の処方や、リウマチの診断はできませんが、症状をお伺いして、炎症が起こっているかエコー検査で確認します。 もし、膠原病の疑いがあるようでしたら近隣の専門家へご紹介いたします。 手指や関節の痛みやこわばりは施術で軽減することがあります。関節の負担を少しでも減らして、変形を防ぐ一助になれればと思います。
拝島メディカル接骨院 昭島市松原町4-14-10 万世ビル2F (JR拝島駅南口 徒歩1分) TEL 042-519-6235
受付時間
日祝
9:00 ~ 12:00
14時まで
15:00 ~ 19:30

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